土着神祖神域失伝

作詞・作曲・アレンジ:FMIC7743/渦音P
歌唱:渦音ヒトvs歌手音ピコ
「皆様の祈りは、皆様の願いは」「こうして無事に届き、叶いました。よかったですね。」
胡乱怪奇田舎伝奇演説歌謡唱歌。
どちゃく-しんそ-しんいき-しつでんと読みます。単語の区切りは土着神祖/神域失伝です。

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FMIC7743 · 土着神祖神域失伝

神仏混淆の失伝土着神(pixivへのリンクです)

その1 /

土着神祖神域失伝 singleEP(BOOTHへのリンクです)

歌詞

安寧は時として容易く打ち破られ、木々は裂け泉は干上がり大地は枯れ果てる
人々は土地神に祈りを捧げた
残された手段はそれしかなかった
神様は人々の願いを聞き届け、信仰は力となり神威しんいを知らしめる
おかげさまでありがたく豊穣を得られた
『こうして神と人は共にあったというわけだ』

『我が名を呼ぶものよ 何を願うのか』
かごめかごめの うしろのしょうめん だあれ

安寧は轟音と共に打ち破られ、木は切られ泉は埋められ山は均される
幾星霜の眠りから目覚めてみたものの、口伝くでんの信仰は既に途絶えていた

『存在すら忘れていた神を今更祀り上げて何を祈るというのだろう』
困ったときの神頼み
『神はいつでも人間ひとと共に、人間ひとはいつでも神と共に、今は昔のお話なのさ』
その声は誰にも届かない

荒れ果てた御社おやしろに久方の参拝者
得体の知れない神様と胡散臭いかんなぎ
さまざまな人々がこの地を訪ねたが、蕃神ばんしんの声などは初めて聴いた

『子供らの童歌わらべうたもすでに途絶えた』
あとには荒れ果てた芒原すすきのはらが広がる

『神はいつでも人間ひとをみていたが、人間ひとは最早神をみてやしない』
『願いを叶える方法など最早忘れてしまったよ』
五穀豊穣安産祈願、除厄開運満願成就。
うわべをなぞり唱えられる、空虚に響く御誓願

『信仰をいだくのはいつでも人間だ』
祈られよ、祈られよ、さすれば救われん。
『信仰を生み出すは人の祈りだ』
踏み鳴らせ、踏み鳴らせ、血の滾るままに

人の祈りはかくも儚く
かごめかごめの うしろのしょうめん「私だよ」

過熱する人の欲は誰の手にも負えやしない
食い止めんと奔走すれど、人倫を叫べども。
信仰を喪くした人々ひとの耳には最早届かない

結末をご照覧あれ、蕃神の御詠歌

「神格は揺らがずに、旅路はこれからも。」
真相は闇の中に、真意は伏せられる
人々が万象に神性見出すたびに、信仰を糧として降臨なされる

「皆様の祈りは、皆様の願いは」
「こうして無事に届き、叶いました。」
「よかったですね。」

登場人とか物紹介

土地神様
"山の神様"とも呼ばれていた多重複合神格。現在の外見は10歳ぐらいの女の子。目がちょっとこわい。
信仰は途絶え、場所すらも定かではなかった御社に得体の知れない神と胡散臭い覡が現れ……?

青年/伝道師/宇多川先生
民俗学者を名乗る怪しい青年。

少女/かみさま
今回の舞台・土器村では"彼女を知覚できる"人間はおらず、土着神からも「得体の知れない神格」「娘っこ」とだけ呼ばれているので本編中で名前を呼ばれる機会がない。今回は「ミタマ」です。

岩見菊花(いわみ きくか)
198x年3月 国立古川大学人文学部文学科卒
同年4月 棗新報社入社
ローカル紙「棗新報」の記者。女性。24歳。
見る、言う、聞くがモットー、やや暑苦しい。
愛郷心が薄め。いつか東京でバリバリ活躍する記者になりたいと思っている。
学生時代に放送部をやっていたためかはたまた村へのコンプレックスか、訛りが薄い。それ以外の土器村民たちの台詞にはほぼ全て"標準語訳"がつきます。

容姿や性格の元ネタというか初期設定はバンキシャのMCをしていたころの菊川玲・甕棺墓光(ドラマ「神の舌を持つ男」の登場人物、2サスマニア)だったんですが結論から言うと私の趣味の方が強く出て原型が留まっていない。
「菊花」という名前は8年前に作った曲の登場人物にも使ってたことが判明しましたというか忘れかけてたのを思い出しました。まあいいか……

地名

土器(かわらけ)村(現・古川市土器)
その名が示す通り土器(かわらけ、素焼きの器)の名産地としての記録が残されている。良質な粘土と炭の産地であったが、江戸時代前期に発生した古川山大噴火によってその両方と当地に暮らしていた職人達を喪い、以降窯業が衰退。 近年の発掘調査で土器の破片や窯の遺構が発掘されている。
平成の大合併で隣接する古川(ふるかわ)市と合併して新制古川市の一部になった。

小越(こごし)
土器村の大字。古川山の裾野にある小規模な集落。
「古川ドキドキリゾート」建設予定地

古川山(ふるかわさん)
古川市・土器村に属する休火山。先述の「江戸時代前期の噴火」を最後に大規模な噴火は発生していない。

用語の大雑把な解説

神仏混淆(しんぶつこんこう)
神仏習合ともいう。
かつて日本に仏教が伝わってきたときに、もともと信仰されていた神と他所から伝わってきた仏とが渾然一体となった信仰がうまれました。
有名所では八幡大菩薩(八幡神と阿弥陀如来)などもそうですね。

蕃神(ばんしん)
よその国から伝わってきた神様。仏教伝来当時の仏様のことも最初期はそう呼んでいたとかなんとか

覡(かんなぎ)
神に仕えるもの。神降ろしとかをする。女性が巫で男性が覡、合わせて巫覡(ふげき)
なんですがこのシリーズでは巫も覡も一貫して「かんなぎ」と読みます。